ほら 捕まえておかないと
誰かが 君を捕まえる



 蝶 々 



「黒子っち〜。高校どこ行くの?」
「黄瀬くんと違うところです」
「ひどっ…。一緒のところ行こうよ。海常高校、いいところだよ」
「いやです」
何でそんな簡単に言い切れるのだろうか。
一緒に居たいと、思ってはくれないのか。
「…なんで」
自分でも酷く低い声だと感じたけれど、黒子の表情は先程と変わらない。
「内緒です」
だったら何故そう言う時に視線を逸らしたのか。
捕まえて叫んで本当のことを吐かせたかったのに
黒子はそれをさせてもくれなかった。
卒業式までの数日、黒子は自分の特技を使って黄瀬から逃げ続けた。
探しても見付からないのだから逃げているとしか言えないだろう。



幸運なことに誠凛高校との練習試合が組まれ
それを口実に黒子に会いに足を運んだ。
黒子の姿を確認して余計に苛ついた。
「やっぱり」



予想した通り。
だからいやだった。

ほら 捕まえておかないと
君は 誰かの元へとんでいく