パラレル@ヴァンパイア設定
・プロローグ/こんな設定です
・黄瀬と黒子の出会い
・駆け引き/黄瀬→黒子
・誰もが望むもの
・treak or treat/くっついた後





プロローグ/こんな設定なんです

ヴァンパイアの世界には
混血と呼ばれる人間からヴァンパイアになった者と
純血と呼ばれる代々続いているヴァンパイアが存在している。
そしてこの世界を治めているのは
純血のヴァンパイアの集まりで出来た元老院である。

黒子テツヤは、純血と呼ばれるヴァンパイアである。
黒子家は歴史が古く、元老院との繋がりも深い一族である。
そして彼自身もその血を受け継ぎ、高い能力を有するが
それ以上に「変わり者」としてその名が知られていた。

彼はある時期からヴァンパイアであるにもかかわらず
血を飲むことを拒むようになった。
ヴァンパイアは血を求めはするけれども
頻繁に吸血行為をしなくもと死にはしない。
…頻繁にということだけで、血を飲まなければ生きてはいけないのだ。
それによって何度も死にかけたこともある。
それ故に「変わり者」と呼ばれるようになった。





黄瀬くんと黒子っちの出会い

黄瀬が黒子と始めて会ったのは、14歳の時であった。
親に連れられて何度も晩餐会に出席していたけれども
同じく何度も出席していた黒子を見掛けたことがなかった。
たまたま黒子家と席が近く挨拶をした際に
同い年だという黒子テツヤと出会った。

黒子は、静かで線が細くどこか氷のようであった。
(…コイツ、苦手かも)
黄瀬はそんな印象を抱いた。





駆け引き/黄→黒

電気も着いていない真っ暗なリビング
だけど、そこに君が居ることくらい分かってる

「電気もつけないで何してるんスか」
「…どこ、行ってたんですか」

黄瀬はソファで丸くなって座っている彼の元に近付く。
掠れた声が、どこか色っぽいと感じてしまうのは
それだけ彼が好きだということなのだろうか。

「分かってるくせに」

彼の腕に中に抱えこみ
耳元で囁くとびくりと身体が震えた。
本当はそれだけで震えたわけではないことも
分かっているんだ。

「離してください…!」

腕の中で暴れる君。
だって嫌なんだろ。

「血のにおいがして」
「…っ」
「しかも、オンナの血のにおい」

そう囁いた瞬間
彼は自分の腕から本気で逃げた。

「黄瀬くん…!」
「黒子っち。早く諦めた方が良いっスよ」


「だって、オレらは誰かの血を吸わなきゃ生きていけないんスから」





誰もが望むもの

誰もが永遠を願い不老不死を願う。
人間は永遠を追い続ける。
叶うはずのない夢だとしても。
そんな愚かで醜いことだけれども、追い続けるという姿勢は好きだ。
だけど、永遠とも言える命を保証されているヴァンパイアにもかかわらず
黒子は生に対しての執着が薄い。
逆に言えば永遠とも言える命が保証されているからなのかもしれない。
しかし同じヴァンパイアの緑間は禁忌を犯してまで人間と共にあろうとしている。
生きるために足掻くこと。
人間だけではなくヴァンパイアにとってもそれこそが本来あるべき姿なのではないのか?
黒子を見ていると、黄瀬はそんなことを考えられずにはいられなかった。





「trick or treat」

黒子は返事をする間もなく、黄瀬に首筋をがぶりと噛みつかれた。
なんとも気持ち悪い感覚だけが、黒子の中をぐるぐるとまわり続けている。
あまりに気持ち悪くて、眉間に皺を寄せると
黄瀬は黒子の雰囲気をかんじとり、どこか楽しそうだった。
(悪趣味すぎる)
黒子がそう思った瞬間、くすりという笑いと共にさらに深く噛みつかれた。

すると、先程までの中途半端に気持ち悪いものとはうってかわって
ぐらりと甘いものを黒子は感じた。
自分が与えられているわけではなく、与えている・奪われている立場だというのに
毎回何故だか甘いものを感じるのだ。
段々と力が抜けていくのに逆らえず、黄瀬にくたりと寄りかかると
黄瀬はやっと離れていった。

「気持ち良かったっスか?」
にやにやとしながら尋ねてくる黄瀬に
どうにも素直に答えたくないのだけれどもこの状態から答えずとも伝わっているだろう。
黒子は答えるのではなく、黄瀬に尋ねた。
「……それより突然なんなんですか
「黒子っち知らないんスか?人間界で流行ってるらしいっスよ」
「…………」
「お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ!ってね」
「…ハッピーハロウィン」
黒子はぽつりと呟いて、黄瀬の唇に軽く触れた。
黄瀬は知らないと思っているらしいが、ハロウィンの風習は黒子だって知っている。
だからこそ、微妙なのだ。
黄瀬は突然のことに驚いている。
黒子は黄瀬のそんな様子に気付くこともなく恥ずかしさにそのまま逃げるように立ち去ってった。

しらばくしてから黄瀬は黒子からお菓子のかわりにキスをもらえたのだということに気付き、
甘い時間を過ごすっス!!と叫びながら黒子を追いかけに行った。

(どこに隠れてたって黒子っちがどこにいるか分かるんスから)

それはずーっと前から、そして今もかわらず。