パラレル@殺し屋設定
・プロローグ
・↑の続きみたいなもの






殺 し 屋 サイレントキラーときいて黒子と思い浮かんだ結果

「見つけた」

その声は、自分が思ったよりも響いていた。
目の前を歩いていた影は、その声に足を止める。
暗い道を微かに照らそうとしている街灯と街灯の間にその影は立ち止まった。
全身が黒い格好のせいだろうか、暗闇に溶けているようだった。
「…もう退院したんですか」
「お陰様で、元気っすよ」
「折角忙しそうなキミに休暇をあげようと思ったんですけどね」
淡々とした声に、黄瀬は約1ヶ月前の事を思い出せずには居られなかった。


あの日は雨が降っていた。
仕事を終えた黄瀬は、駅へ向かう為繁華街を歩いていた。
その時、ゾクリと冷えるような嫌な感覚が黄瀬を襲った。
辺りを見回しても、何時もと変わらず何も変わらないはずなのに
何かが違うような感覚が黄瀬から離れなかった。
黄瀬は吸い込まれるように、すぐ近くの路地へと足を踏み入れた。
ぽつりぽつりとある電球は、道を照らす役割をほとんど果たしていなかった。
暗い道を黄瀬は、進み続けた。

「…った…」
角を曲がったところで、黄瀬は何かに引っかかり慌てて立ち止まった。
少し離れたところにある街灯からの微かな光を頼りに
足下にあるなにかを見ればそれは人であった。
黄瀬が先程思い切って蹴ってしまったにもかかわらず何も反応がないということは
そういうことなのだろう。
「…しつこいって言われませんか?」
突然聞こえた声に、黄瀬はビクリと身体を震わせた。
全く気配がなく、そこに人がいるとは思わなかったのだ。
そして段々と嫌な汗をかいているのが自覚出来た。
頭の中では、早くココから逃げろと言っているけれども足が動かない。
「余計なことをすれば自滅を招きますよ」
そう言われた瞬間、腹に何かが当たった感覚がした。
それからすぐに黄瀬は自分が刺されたことに気付き
ゆっくりと意識を失っていった。

翌朝、近くの居酒屋の店員の通報により黄瀬は病院へと運ばれた。
そんなに深い傷ではなく、黄瀬はしばらく入院して安静にということだった。
見舞いに来た上司に、倒れていた人のことを尋ねると
到着した時には亡くなっていたらしい。
それから一週間後、見舞いに来てくれた同僚に捜査状況を尋ねると
捜査は終了したとただ一言言われた。
死亡した男性は元々良い噂があったわけではないらしく
そのまま片付けられたということだった。
もう少し入院していろという医者に無理を言って退院した黄瀬は
その足で直接上司のもとへ向かった。
捜査打ち切りの理由を聞くためである。
しかし上司は、同僚と同じことしか言わなかった。
「…失礼しました」
「ゆっくり休めよ…それと、」
「…なんですか」
「決して首を突っ込むな」


上司があの時最後に言った言葉を黄瀬は忘れられなかった。
けれどもそれ以上に、あの時あそこに居た人物にもう一度会いたいという
説明の出来ないものに突き動かされていた。

「キミは、よくボクを見つけられますね」
「何となくっス」
「…何となく、ですか。そうしたらもう二度と会いたくないですね」
「オレは、絶対お前を止める」
「…そうですか。でも黄瀬くん、これだけは知っておいた方が良いです」
「…!どうして名前を…」
「キミがこれ以上ボクに関われば、キミの命を保証することは出来ない」





↑の続き的なもの
「君は、本当に懲りない人なんですね」
するりと何かが触れたかとおもえば
ポケットに入れていた携帯電話とボイスレコーダーが
彼の手元にありそれがゆっくりと落とされそして踏みつぶされた。

「こういうことはアンフェアだと思いませんか?」
「犯罪の方が、アンフェアだ」
「だったら君は、そのアンフェアの中に存在してるんですね」
「…は?」
「しつこい君に教えてあげますよ、ボクの名前」
「え?」
「サイレントキラー。これが、君たちがボクにつけた名前」
どすりと重いものを感じ
それからすぐに意識が途切れた。


「また、会ってきたんだな」
自分の新人時代から知っている笠松先輩は
溜息をつきながらそう言ってきた。
ただ道路で寝っ転がっていたとは始めから考えていないようだった。
「先輩…」
「黄瀬、オレはお前に関わるな、と言ったはずだ」
「先輩!でも…!」
「このままだと、お前は潰される」
先輩の有無を言わせぬ言い方に
黄瀬は何に、と尋ねることが出来なかった。