ア ン サ ー ソ ン グ


s i d e : K i s e

「黒子っち〜きいてくださいよー」
「なんです?今忙しいんですけど」

黒子は読んでいる本から目を離すことなく答えたが
その対応に慣れている黄瀬は気にすることなく話を続けた。

「先月の16日に登校したら机の中にチョコ入ってたんスよ」
「なんだ、自慢話ですか。それは良かったですね」
「いや、自慢したいわけじゃないんス!そのチョコっていうのがチロルチョコだったんスけど…
って黒子っちどうかしたんスか?」
「な…なんでもないです。続けて下さい」

黒子は知らぬ間に手を止めて黄瀬をまじまじと見てしまっていたのだが
黄瀬に話しかけられると慌てて本に目を向けた。
不審に思いながらも珍しく話を続けても良いと言った黒子の気分が変わる前に
話を続けようと、黄瀬は口を開いた。

「?続けていいなら続けるっスけど…ただのチロルチョコなんすけどなんか気になるんスよ。
もうすぐホワイトデーじゃないスか。だから返したいんスけど、実は名前がなかったんスよ」
「黄瀬くんが誰かにお返しするなんて珍しいですね。
折角ならボクも協力してあげたいですけど誰からかもわからないものを返すのは無理です」
「だよねー。あーぁ」
「ですが…」
「うん?」
「きっと黄瀬くんが気にかけてくれたことはその相手に伝わっていると思います」
「そうスかね…なんか黒子っちにそう言われるとそんな気がしてきたっス」

黄瀬が嬉しそうに笑うので
黒子はそれを見て、自然と言葉を発していた。

「それは良かったです」

その言葉をきいて黄瀬は少し驚きながらも
すぐにまた嬉しそうな顔で黒子に笑いかけた。








s i d e : K u r o k o

「黄瀬くん、ちょっといいですか」
「ど…どうしたんスか!?」
「モテる黄瀬くんにききたいんですけど」
「えっ…なんかオレ黒子っち怒らせたスか!?」
「とりあえず黙ってきいて下さい。実はバレンタインデーにチョコもらったんですけど…」
「え!?マジスか!だ…誰から!あっ…話続けて下さい…」

黒子の発言に黄瀬は椅子から立ち上がり誰からかと尋ねるも
じろりと見られ、先程黙って聞くように言われたことを思いだし
すとんと椅子に座った。

「それが部活終わりに下駄箱に入ってて名前もなかったんです。
一応2日後にホワイトデーがあるのでどうすれば良いかと思い
黄瀬くんにアドバイスして欲しくて」

黄瀬はその言葉をきくと、とてもホっとしたような顔をした。
黒子の怪しむような視線に、黄瀬は慌てて質問に答えた。

「…あー、その場合は返さなくて大丈夫スよ」
「そうなんですか?」
「そうっス!それより、今週の土曜部活休みですし一緒にどこか行かないっスか?」
「その日ってホワイトデーですよね」
「そうスけど…?」
「黄瀬くんは誰かと過ごしたりするんじゃないんですか?」
「だから黒子っちと一緒に過ごしたくて誘ったんスけど」
「…ボク、男ですよ」
「もちろん知ってるっス」
「…分かりました。そしたら黄瀬くんがエスコートして下さいよ」
「もちろんっス!!」












黄→←黒。一方通行ラブソングのつづきでしたー