「そいえば、黒子っちからキスしてもらったことないっス」



P l e a s e k i s s m e !



黄瀬はいつも突然なような気がした。
告白してきたのも突然だった。
(当たり前だ。まさか男性から告白されるなんて思いもしなかった)
ふとした瞬間に格好良く見えるのも突然だ。
(だから目を奪われる)
初めてキスしてきたのも突然だ。
(OKしてから2週間後に耐えられないと突然キスされた。そして逃げた)
黄瀬はいつも突然なような気がした。
だけどその突然はやられた直後は
何を言っているんだ!という気持ちが湧き出てくるのだが
後から考えるとどれも嫌なものではなくて
むしろ恥ずかしいだけなような気がする。
のは、絶対に本人には言わないと黒子は心の中で決めていた。

そして今回の突然も
恥ずかしいよりも先に何を言っているんだ!という気持ちが
すぐに出てきた。


「…突然何を言い出すんですか!」


睨み付けると、黄瀬はあからさまに溜息をついた。


「出来ないんスか。…まぁ、無理強いさせる訳にもいかないっスしね」
「…………」
「…く…黒子っち?」


あまりに反応のない黒子の顔を黄瀬は覗き込むと
黒子はそのまま黄瀬に顔を近付け
そっと黄瀬の唇に触れてすぐに離れた。
黒子はしてやったという顔をしているが
黄瀬は突然のことに呆然とした。




「か…」
「か…?」


しばらくの沈黙の後
黄瀬がやっと口を開いたと思ったら
意味の分からないことを放ち
黒子はその言葉を首を傾げながら反復すると
黄瀬はがばっと黒子に抱きついてきた。


「なっ…!」
「黒子っち、ちょーかわいいっス!!」



黄瀬があまりに嬉しそうに笑うので
黒子は余計に恥ずかしくなり
そして何よりも喜んでくれたのが嫌ではなくて
それを悟られないように顔を埋めた。