i n t h e m o r n i n g



不自然に沈んだ跡
冷たくなりかけたシーツ
仄かに残る君のにおい
目が覚めたら君は居なくなっていた
そうなることを何度も考えたことがる
同じように何度も夢に見たことがある
その度にボクは涙を流した
とめようにも涙は流れ続ける
そうすると君はボクが起きたことに気付き
そして涙するボクに気付き
大きくてあたたかい手で涙を拭うんだ。

「…オレはここに居る」
君の手は、その声は、ボクを安心させる


ほら、目を覚ますと君が心配そうに見つめてる
ボクは知っているんだ
[アレ]が夢だということを
なのに涙が流れてくるのはどうしてなのだろう
温かい手が涙を拭ってくれる

「またあの夢見たの?大丈夫、オレはここに居る」

横に居るのは君
君の体温であたたかいシーツ
君のにおい
あたたかいのに、頬をつたう涙は冷たかった









「…やっぱり夢だ」
だってここにはボクしかいない。
涙を拭う君のあたたかい手はどこにもない。
そうさ、君の体温も匂いも君の居た証拠は何一つないんだ。
だから頬をつたう涙は冷たいまま。
そしてボクはどこかに取り残されたまま
また朝を迎える。













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