あれからしばらくして、黄瀬はレギュラーになった。


「…あのとき、お前が見てた奴、入ってきたな」
「たまたまです」
「アイツがレギュラーになるのわかってたのか?」
「まさか。分かるわけないじゃないですか」
「お前なら分かんねェよ」

ふと視線を感じ、そちらをそっと見ると黄瀬がこちらをじっと見ているようだった。

「いいのか」
「なんのことです?」
質問の主語が抜けていれば、何のことを言っているのか分からない。
そう返すとわざとらしい溜息をつかれ、黒子もそれ以上何かを言うことはなかった。






「ちょっと良いスか」

黄瀬から声を掛けられたのは、それからすぐだった。
練習が終わり、部室に戻ろうとしたときに
少し緊張したような硬い表情で黄瀬は黒子の前に立った。

「…いま、ですか?」
「あ。えと…オレ、黒子のこと好き…みたいです」



突然のことに、黒子は反応することも出来ず
レギュラーの叫び声だけがとてもよく響いていた。







誰も予測しなかった事態よ
こんにちは