届かない



「…随分と黄瀬はお前のことが好きみたいだなー」
「そうですね…」
「お前も適当な態度とってるからアイツを勘違いさせるんだろ」
「……」
「お前の光は誰なのか、分かってるよな」
青峰は、クッと黒子の顎を掴んで上を向かせた。
黒子は青峰のその目を見て、こくりと頷いた。
「ボクの光は…青峰くんです」
「そうだ」


黄瀬が途中入部してきてから、半年が経った。
始めは一般部員と変わらなかったけれども、ぐんぐんと
成長していき今ではレギュラーの一員になった。
クラスが一緒だということもあるのか
黄瀬は何かと黒子と一緒に居た。
あえて見付からないようにしていても、
しばらくすると必ず黄瀬は黒子を見つけていた。
青峰にとって、それが気に入らないらしい。
最近、何かとこうやって青峰は確認するようになった。


(青峰くんは、気付いてない)

黒子は自分の瞳をそっと閉じた。
するとすぐに、唇にそっと何かが触れて離れていく。
目を開けば、青峰の満足そうな顔がうつる。



「    」
その声はきっと届かない