「ここにいたんだー」
「…桃井さん」
「久しぶり、っていうのかな?」
「…卒業おめでとうございます」
「テツくんこそ、おめでとう!」
「…何処に進学するんですか」
「テツくんと一緒。って言いたいところだけど青峰君と一緒のトコロ」
「そうなんですか」
「…テツくんのことは好きだけど、テツくんの進学する高校には行けないよ私」
「他の人たちと似たようなことを言うんですね」
「他の面々とも話したの?」
「…黄瀬くんと、キャプテンとは」
「そっかー。…でも仕方がないよ、3年も一緒に居たんだから」
「そう、ですね…」
「3年も一緒だったのに、あんな簡単に消えちゃうなんて思わなかった」
「………」
「ごめんね、責めてるわけじゃない。だって、テツくんは色々考えた結果なんだもんね」
逆光で桃井の表情を見ることは出来なかった。
だけど、見えなくて逆に良かったのかもしれない。
「テツくん、私、本当にテツくんのこと好きだったよ」
さよなら、
大好きだった人
「会ってきたのか」
「…うん」
「アイツ元気だったか」
「…気になるなら、会いに行けばいいじゃない」
「……お前こそ、泣くくらいならあんなこと言わなきゃいいじゃねぇか」
「だ…だって…」
こうやって桃井がぐすんぐすんと泣く姿がなんだか不思議な光景に思えた。
「また…会えるかな」
「会うだろ…バスケをやってれば、な」