冬のはじまりは
黒子の誕生日が近付いたということである。

あまり人の誕生日などが覚えられない火神にとって
寒さを感じるということは黒子の誕生日が近いという感覚だった。


部活後に、冷たい風に吹かれて寒さを感じる。
(…そういや、もうすぐか)
プレゼントをあげるにしても男性同士で違和感がある。
誕生日おめでとう、と言うにも気恥ずかしい。

ふと、黄瀬が頭に浮かんできた。
気軽に、黒子に声をかけ、触れ、話をしている。
簡単に、おめでとうと言い、プレゼントを渡している。

「…って、なに黄瀬のこと羨ましいとか思ってるんだ…」
でも、羨ましいだけじゃなくて
もっと醜い感情が交じっていることを
冬の寒さのせいにして気付かないフリをした。



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